ご本尊

一塔両尊四士

お題目を中心に左にお釈迦様右に多宝如来が並座し前に日蓮聖人という一塔両尊のご本尊は、本堂の祭壇奥の須弥壇に安置されています。

一塔両尊のご本尊
日蓮聖人像

日蓮聖人像

像底に記された墨書銘によれば、寛文九年(1669)に青木清左衛門の内方(妻)妙圓が、父母の冥福を祈るために造像したものです。 本山小湊(現在の千葉県)誕生寺の二十世日明上人によって開眼されたことが、その著名花押からわかります。江戸時代初期の在銘の日蓮聖人像として貴重です。 寄木造り・彩色・玉眼、像高約30cm、 大田区文化財

日蓮聖人とお題目

日蓮宗の宗祖、日蓮聖人は、相次ぐ自然災害や争乱などで混乱を極めた鎌倉時代に生き、幾多の困難に見舞われながらも、強い信念のもと、お釈迦さまの教えを日本の地でひろめた人物です。 人々の苦しみを取り除き、社会全体が幸せになるように願った日蓮聖人は、来世ではなく”今を生きる”ことの大切さを説き、法華経への信仰にその生涯を捧げました。 日蓮聖人が説く、お釈迦さまの功徳が集約された「お題目」の世界は、今もなお多くの人々の心の拠り所となっています。

法華経の教え

お釈迦さまの教え(言葉)をまとめた「お経」の数は、「8万4千」といわれています。 その中でも、日蓮宗では「妙法蓮華経」というお経文を拝読します。 この法華経には、お釈迦さまの本当の心があらわされており、すべてのお経が含まれています。まさに、この世をイキイキと生きるための仏教のエッセンスがつまった”教えの集大成”とも呼べるものです。 日蓮宗の宗祖・日蓮聖人は、法華経こそが困難な時代を生きるあらゆる人々を救う最も尊いお経であると、説き続けられました。

久遠実成くおんじつじょうの教え

法華経はお釈迦様が晩年、遺言のように説かれたお経で、ご自分が亡くなった後2,000年後の、末法の世になってはじめて役に立つ教えだとして説かれたと言われています。 その法華経は後に三蔵法師が中国に持ち帰り、サンスクリット語から中国語に訳されたことでアジアの様々な国に伝わり、日本へは鑑真和尚が命がけで持ち帰って伝わりました。 日蓮聖人は鎌倉時代、当時の世相を見て今が末法の世だとし、この動乱期にどのようなお経が広まれば人々を救うことができるか?ということで様々な経文を勉強した結果、法華経こそがふさわしいということに思い至り、これを命がけで世に広めました。 その教えの真髄は、現世利益(げんぜりやく)といい、人は生きているうちから悟りの境地を得て仏になれる、というものです。俗に言うお金が儲かる、という意味での利益ではなく、お釈迦さまの悟りの気持ちが備わる、という意味の利益です。 その悟りの境地とは、法華経に則って、生きとし生けるものは皆同じであると悟ること、すなわち今自分のことをどれだけ仏と思うことができるか、幸せに思える自分がいるか、また周りの人も、お参りしたご先祖さまも皆、どれだけ仏と思うことができるか・・・。(そこに過去も未来もなく、時間軸を取り払うと皆仏になる。取り払ったところに本当の悟りがある、)それこそがお釈迦様のご意思なのではないでしょうか。 過去も未来もなく皆いずれは仏になる(久遠実成)と分かれば、今世で悟りを得られなければまた来世で悟りを目指せばよいので、無理に頑張る必要はありません。 肩の力を抜いて穏やかな心で、お互い仏と仏で拝み合い、仏同士で生きましょう。